遺族支援とは?

大切な人を亡くされた方々は、
どのような支援を求めておられるのでしょうか?
私たちは、何ができるのでしょうか?

 ひと言で表すことのできる簡単な答えはありません。
 それぞれの方が、それぞれの状況におられますから、「自死遺族」「震災遺族」などとひとくくりにすることは到底出来ません。
 目の前にいる方が、何を必要としておられるのか、私たちは何ができるのか、このふたつの問いかけを続けること、それが支援の第一歩ではないでしょうか。
 その時々の気持ちや状況を聴かせていただき、寄り添うこと、そして対処すべきことに対して一緒に考えていくこと、結果として遺族が「支えられたと実感できること」が大切です。

 大切な人を亡くすことは、人生でもっとも悲しく辛い出来事です。
 遺された人には、年齢や性別を問わず、大人にも子どもにも、いろいろな感情が起こり、こころや体、思考や行動にも、また、人生観や価値観にも影響があります。これら喪失体験によって引き起こされる内面の葛藤や苦悩は、グリーフ(Grief 悲嘆)と言われます。遺族支援に関わる際には、グリーフへの基本理解は欠かせない要素です。

グリーフの4つの側面

  • 悲しみ、寂しさ、怒り、罪悪感、恐怖感、安堵感などさまざまな感情
  • その人が亡くなったことを理解し、信じようとする思考プロセス
  • 不眠、頭痛、食欲不振などの身体的反応
  • 人生の意味や、神の存在に対する霊的(宗教的)な疑問

グリーフの6つの基本理念

  • グリーフは、喪失に対する自然な反応
  • グリーフ体験は一人一人異なる
  • グリーフには、「正しい」も「間違い」もない
  • 死はそれぞれ異なり、体験も異なる
  • グリーフの過程は複数の要因の積み重ね
  • グリーフに終わりはない
    「大切な人を亡くした生徒を支えるために」
    (ダギー・センター2012年 日本語版NPO法人全国自死遺族総合支援センター)

遺族支援4つの側面

こころ、身体、生活上の諸問題、情報

従来の遺族支援は心理的側面に重点が置かれがちでしたが、生活の安定なしにこころのケアは機能しきれません。また、精神的な支えが得られたと実感できると、生活上の諸問題への対処に向かう力が増してくるでしょう。不眠、食欲不振など身体への影響も見逃せません。
具体的な情報の提供が役立つことや、家事・雑事の代行が支えになることもありますから、必要に応じて総合的な視野で、個別的、具体的な支援がなされることが大切です。

すべての側面に対応できる人はいません。
だからこそ、“わたしにできる”ことはきっとあるはずです。


遺族にかかわるつながり

身近なつながり、専門職、ピア(仲間どうし)

それぞれの方がもともと持っておられる人間関係、家族や友人、知人など身近な方たちの存在は欠かせません。医療、法律、経済などの専門家の力が必要なこともありますし、専門職間の連携も欠かせません。しかしながら、身近な関係であるからこそかえって理解し合えないことも起きますし、専門職にできないこともあります。注目されているのが、思いを共有できる者同士、とくに同じような体験をした人同士、または隣人として、仲間として、同じ方向をめざして生きている人たちとの支え合いで「ピアサポート」とも呼ばれます。行政機関と民間団体~ピアサポートとの協働による遺族のつどいや電話相談などもあります。

遺族支援のめざすこと

私たちが遺族支援を通してめざすのは、「誰もが安心して悲しみと向き合うことのできる社会」の実現です。それぞれのペースで、それぞれの表し方で、孤立せずに、悲しむことが出来た時に、誰もが持っている内なる復元力(レジリエンス resilience)が働くのではないでしょうか。

グリーフの変容

 「過去」に起きたこと、その事実はだれも変えることはできません。けれども「今」と「未来」の生活や考え方とそれに伴う気持ちは変わることもあり得る、変えることができる、私たちはそう信じています。
 亡くなった人がかけがえのない大切な存在であったからこその悲嘆は、避けることのできないものであり、その苦しみの肩代わりは誰にもできません。けれども苦しい道のりをたった独りで歩むのではなく、傍らに寄り添う人がいるのであれば、その先に歩む人生は異なったものになるでしょう。遺族支援とは、喪の作業の伴走者のような役割かもしれません。
  遺された人たちの「痛み・傷み」が消えることはなくとも、少しずつやわらぎ、笑いや希望をとり戻すことがあることを信じ、それぞれの方がその人らしい生き方を組立て直す足がかりを築くこと、そしてそこに寄り添っていくことを大切にしたいと思います。